以前のリビジョンの文書です


写真

340名無しさん@お腹いっぱい。2018/10/24(水) 21:42:26.79»344»351»352»740
チャラ男のしりりは極悪れむちゃに「あの子構ってもらうためならそんくらいやりかねないってw」と
そそのかされて深淵に「裸の写真送ってきたら明日学校で話しかけてやんよwww」みたいなラインを
送ってはみたものの、わずか数分で送りつけられてきた深淵のガリガリで貧相な裸体(最後の恥じらい
から胸と股間だけは手でガード)を見て罪の意識にさいなまれてそう

翌朝、いつも通り誰にも会話してもらえないまま登校して席に着いた深淵に近付いてそっと呟くしりり
「お前…あんなこともうやめろよ?…それと、もうちょっと食べて肉つけたほうが絶対かわいいから」
ハッとして目を輝かせながら見上げる深淵、それに気付いたしりりは思わず顔を背けてその場を離れる

遅れて登校してきたれむちゃに駆け寄って「オラッ!パンツ見せろ!」「もー!」みたいなやりとりを
始めたその背中を見つめる深淵の熱い視線にはもう気付かない振りをするより他にないしりりだった…


サイコホラー

552名無しさん@お腹いっぱい。2018/10/26(金) 20:37:16.82»555»559»561»564»594»595
今、俺(しりり)には人に相談できない悩みがある

一度会話をして以来、ふと背中に誰かの視線を感じて振り向くとそこには必ず深淵の姿があった
俺と目が合ったことに気付くと深遠は決まって微笑む、いや微笑もうと努力する
だがそれはなんという笑顔であっただろうか
顔の右半分をMウイルスに侵されているせいか、それともほぼクラス全員から無視される日々が
あまりにも長く続いたせいか
それは笑顔と呼ぶにはあまりにもぎこちなく、ふだん人前で笑うことに慣れていない陰キャ特有の
衰えた表情筋による痙攣としか言いようのない不気味な代物だった

人づてに聞いたところによると、あれ以来深淵は俺と付き合っていると周りに吹聴していたらしく、
それが原因で何日か前にはれむっふをアタマに据えた上位カーストの女子たちに呼び出されて
校舎裏でボコボコにされたという噂まで耳にした
実際ここ数日深淵は学校を休んでいる…それなのに、今こうして背中に視線を感じて振り返ると
あそこの物陰に身を潜めるようにして、包帯と絆創膏だらけの顔にあの表情を浮かべながら…
深淵もまたこちらをのぞいている――――。


マンボウと深淵

868名無しさん@お腹いっぱい。2018/10/31(水) 21:47:56.76»894
(このマンボウ食べられるのかな…)
教室の隅に置かれた水槽の前に一人佇む深淵
ここ数日というもの雨水と埃しか口にしていないこともあって
水槽の中を暢気に浮き沈みしているにすを眺めるその目に残忍な光が宿る

足音をしのばせながら水槽に向かってひっそりと歩み寄る深淵
自身の身に差し迫る危機を察し、慌てて浮上したにすが水面から顔を出して
「んぼっ、んぼぉっ!」と苦しげに喘ぐ

フグのテトロドトキシンのように自らを守るためその身に宿したM-ウイルスも
より重度の感染者である深淵に対しては抑止力とはならない
避けることのできない運命を悟り、水面に身を横たえて静かに瞑目するにす
(豆知識:マンボウは魚類には珍しくまぶたがあって死ぬと目をつぶるらしい)

教室の一番後ろの席から持ち運んだ椅子を水槽の脇に置き、水面に浮かぶ
にすに手を伸ばそうとする深淵
忘れ物を取りに来て偶然その場面に出くわしたしりりが思わず声を荒げて叫ぶ
「深淵…お前、何やってんだ!」

椅子から降りて水槽の前に泣き崩れる深淵、その震える細い肩を眺めながら
(俺がまた糞みたいなボイドラ作ってなんとかしてやるからな……!)と新たに
決意を固めるしりりだった――――。


しりりに詰め寄られむ

21名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/04(日) 10:34:03.92
「しりり君ってさぁ…最近深淵と仲いいよね。さっきもアイツに声かけてるとこ見ちゃったんだけど?」
「…!」
「…え、あれ?なにその反応。そっか…れむちゃのことは遊びだったんだ?深淵かわいいもんねw」
満面の笑み(残忍)を浮かべてしりりに詰め寄るれむちゃ
「な、何言ってんだよ…見間違いだろ。誰があんな陰キャのメンヘラなんかに…」
れむちゃに数センチの距離で顔を覗き込まれ、たじろいだしりりが苦し紛れにそう答えた瞬間、
どこか離れた場所からカチカチッとオルファの刃を繰り出す音が聞こえたような気がした――――。


カレーうどん

386名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/09(金) 21:20:36.18»400»436»438»453
構ってちゃんが高じるあまり白のブラウスの下に黒の下着を着けて登校してきた深淵
(ここまですれば誰か話しかけてくれるかもしれない……)
当然クッキリ透け透けで一部の男子(海外エロ動画サイトで「skinny」タグを愛用)が一斉にザワつき始める

注目を集める深淵の姿を見たれむちゃが苦々しい表情を浮かべて取り巻きの上位カースト女子たちに呟く
「なんか深淵のやつ、最近ちょっと人気出てきたからって調子に乗ってね?」
「陰キャのくせに生意気」「いくら数字持ってないからってあれは、ちょっと必死すぎでしょw」「キモい。死ね」
堰を切ったように飛び交い始めた深淵評に満足気な様子で頷きながら聞き入っていたれむちゃが口を開く
「れむにさぁ、考えがあるんだけど?」

「深淵ってさぁ?ガリガリじゃん。たまにはちゃんと食べなきゃダメれむよ~?wれむの奢りなんだからさ?」
学食のテーブルの向かいに座って頬杖をつきながらニヤニヤとこちらを眺めるれむっふ
その取り巻きの一人によって目の前に置かれたカレーうどんを見た瞬間、深淵は相手の真意を悟った…。

「れむの奢ったご飯が食べられないわけないよね?」
その言葉に追い立てられるように恐る恐る麺を箸で持ち上げ一口すする深淵
れむっふとその取り巻きたちの悪意に満ちた視線を浴びながら、という極度の緊張から純白のブラウスに
黄色いシミを付けてしまうことに――――。

「あ!シミ付いちゃった!深淵かわいそーw」「陰キャのくせに透けブラで男釣ってんじゃねーよw」
周りからの嘲笑を浴びながらもなお陰キャ特有の今にも泣きだしそうな笑顔を浮かべる努力を続ける深淵
「ど゙わぁっ!お前ら!何やってんだ!」
学食を訪れて偶然その場面に出くわしたしりりが深淵の手を取ってその場から連れ出す

・・・

「深淵、脱げ。」
軽音部に連れ込まれた深淵は有無を言わせぬその強い語調にたじろぎながらも汚れたブラウスを脱いで
扇情的な黒い下着姿となって壁のほうを向いたままこちらを振り向こうとしないしりりの背中を見つめ返す
「脱いだか?じゃあ俺に渡せ」
ほんのりと温もりを残す脱いだばかりのブラウスをしりりが差し出した後ろ手に恐る恐る渡す深淵

「まったくあいつらときたら……」
深淵のブラウスに付いたカレー汁の染みにキッチン泡ハイターを拭きつけながらいまいましげに呟くしりり
「陰キャバレくらいなんだってんだ。俺だってやったんだからさ(同調圧力)」
布地の裏側に不要な(吸水性の高い)布をあてがい、表側からトントンする高度なシミ抜き技術を駆使する
しりりの背中を眺めているうちに思わず下のほうまでしっとりしてきたことに気付き顔を赤らめる深淵だった


パパ活

414名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/10(土) 14:16:32.45»450
パパちゃに連れて来てもらった回らない寿司屋で特上寿司をほおばるれむちゃ
「このマンボウおいしいれむ!」
その様子に目を細めて優しく見つめるパパちゃが大人の余裕でそれとなく諭す
「れむちゃ、そのお魚はマグロって言うんだよ」
「MGRなら知ってるれむ!教室で飼ってるマンボウがよく動画に使ってるれむ!」
「(……?)れむちゃは本当に物知りさんだねぇ」

一貫で\3,000以上はする大トロばかりを次々に追加で注文するれむちゃにむしろ
寿司店の大将のほうが気を遣ってパパちゃに目配せをする
(……いいんですか?)
(いいんだ。握ってやってくれ。)
無言で頷いたパパちゃの視線が隣で次の「マンボウ」を待ち受けてウッキウキな
少女の瑞々しい肢体を服の上から舐めまわす
(この娘には投資に見合うだけの価値がある……)

勘定を終え、店を出た二人は夜の繁華街を歩き始める
「れむちゃ、この後…」「分かってるれむ」
パパちゃが最後まで言い終わらないうちにその言葉を遮るように答えるれむちゃ
声からは固い決意が感じられ、パパちゃを見上げるその目には暗い光が宿る
「れむ、これから行くところで何でもパパちゃの言うこときくから。でもそのかわり」
「こないだ買ってあげたCubase、あれじゃまだ足りないのかい?」
(ほしいVSTプラグインがいっぱいあるれむ……れむがハイクオリティな音MADを
作って人気者であり続けるためには絶対に必要れむよ……!)

おもむろにパパちゃの腕を取って自分の胸に押し付けるようにしてしなだれかかり
戦略的上目遣いでパパちゃの目を覗き込むれむちゃ
「……分かった。パパちゃの負けだ。れむちゃが欲しいもの何でも買ってあげるよ」
「わーい!れむパパちゃだいすきー!」
「こんなあざやかな手口、れむちゃはいったいどこで覚えたのかな?」
「ひっどーい!れむ、こんなこと(パパ活)するのパパちゃが初めてだよ(大嘘)?」

(清純そうな見た目なのに、この娘そうとう慣れてるな。今夜は色々楽しめそうだ)
(深淵みたいな陰キャなんかに負けるわけにはいかない……。ハイクオリティな
動画で数字を稼いで、絶対にしりり君を振り向かせてみせる!)
親子ほども歳の離れた男女は互いに交錯することのないそれぞれの思いを胸に
欲望渦巻く夜の街へと消えて行く――――。


第一部完

912名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/14(水) 22:37:11.23»913
悪い噂というものは人の悪意によってその真偽が問われることもないまま瞬くうちに広がる
れむちゃからも距離を置かれるようになった今、しりりはそれを身に染みて実感している

……あの目
今朝、教室に入ってきたれむっふに「おら!パンツ見せろ」といつものようにセクハラ攻撃を
仕掛けようとしたとき、当のれむっふから向けられたその視線は
口から発せられるどんな言葉よりも雄弁にあからさまな嫌悪と侮蔑の感情を物語っていた

よく今日一日、放課後まで逃げ出さずに留まって居られたものだと思う
普段なら軽口を叩いて笑い合う仲間に声を掛けても、皆困ったような笑顔をして離れていく
――――まるで係わり合いになるのは御免だとばかりに
チヤホヤされるのが当たり前だった人気者のしりりにとって、それは何よりも辛いことだった

ふと何かを思い出したように校庭の片隅に向かって歩き出すしりり
まるで本人の意志を離れたかのように、歩を進めてきたその足の動きがふいに止まる
飼育小屋の前にしゃがみ込み、唯一の話し相手である網の向こうのウサギさんに向かって
しきりに何かを話しかけていた深淵が背後の気配に気付いて振り向く

しりりが次に気が付いたときには、深淵と肩を並べて飼育小屋の前でウサギを眺めていた
二人とも無言のまま、こちらに寄ってきては鼻をヒクヒクさせたり、小屋の奥に戻っては穴を
掘るそぶりを見せたりするウサギたちの様子を眺め続ける
「深ちゃは……しりり君のこと信じてるから。」
前を向いて目を合わせないまま、ためらいがちにそっと呟いた深淵のその声を聞いた瞬間、
しりりの中で何かが弾けた

その場に押し倒され、組み伏せられる深淵
(心のどこかで俺はこいつの庇護者を気取って、そして見下していたのかもしれない……。)
その相手から自分に向けられる憐憫に逆上したしりりの手が、倒れ込んだ拍子にはだけた
スカートの裾から覗く深淵の白い脚を這い上がる
「しりり君は、こんなことしない……!」
まっすぐにしりりの目を見上げてそう言い切る深淵のまなざしには、その言葉が本心から出た
ものであることを裏付ける強い意志の光が宿っていた

再び飼育小屋の前にしゃがみ込む深淵、その隣で気まずそうに佇むしりり
「あのね、ウサギさんたち聞いて。深ちゃが大切に思ってる人が今、苦境に立たされています。
でも深ちゃはその人がきっとこの苦境を乗り越えてまた元通りの人気者に戻ってくれることを
信じています。」
その震える細い肩に置こうと伸ばしかけた手を慌てて引っ込めながら決意を新たにするしりり
(俺はまた糞みたいなボイドラ作って再び人気者の座に返り咲いてやるからな……!)

この後、周りから無視され続けてきた深淵の陰キャ特有の悲しみを知ったしりりが造り上げる
新作ボイドラがクッキー☆界隈に新風を巻き起こすことになるのはまた別のお話(第一部完)


合作

304名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/21(水) 21:46:31.89»306»366
(あ、また深淵のやつこっちのぞいてやがる……)
背後を振り返り、電柱の陰から見え隠れする深淵に向かって声を掛けるしりり
「深淵、いるんだろ?ちょっと一緒に歩かねえか?」
気まずそうにソロリと電柱の陰から出て、しりりの少し後ろから歩調を合わせて
付いてくる深淵

「今度さ、俺と『合作』しねえか?」
ふいに足を止めて振り返り、まっすぐ深淵の目を見て話しかけるしりり
「……!?」
いっぱいに見開いた目でしりりの顔を見返しながら後ずさり、驚くべき素早さで
再び電柱の陰に隠れる深淵
「でも、深ちゃたちまだ学生だし……『合体』なんてそんなのまだ早いっていうか」
「バッ!違ぇよ!『合作』だ!『合体』じゃなくて『合作』な?」

「あのさ、最近お前の初期の投稿動画とか見たんだけどさ、お前スパロボとか
好きだよな?そんなんだから『合作』を『合体』なんて聞き間違えるんだってw」
いっこうに距離を縮めようとしない深淵に向かって苦しいフォローをするしりり
しかしそれは意外にも一定の効果を上げたようで、
過去の投稿動画を見られた気恥ずかしさはあるものの、あの人気者のしりりが
自分を気にかけてくれたという嬉しさから、深淵は再びしりりの傍に歩み寄る

「俺も今は色々と苦しい立場だしさ、ここらでいっちょ話題性がある動画出して
注目集めたいわけよ」
「前にれむっふと音MDMで……って、ど゙わぁっ!深淵、お前何やってんだよ!」
その口から「れむっふ」の名が出た瞬間、鞄の中にガサゴソと手を突っ込んで
愛用のオルファを取り出した深淵
慣れた様子でチキチキと刃を繰り出した後、しりりに向かってゾッとするような
笑顔で微笑みかけながら手首にあてがう

「……落ち着け。本当に落ち着いてくれ、いや、マジで(懇願)」
危ういところで深淵の手からカッターを奪い取ることに成功したしりりは
まだ息を荒げて、肩を大きく上下させる深淵をなだめながらなんとか話を続ける

「れむっふとは音MDMで組んだけど伸びはイマイチだったし、にすとはあれ以来
疎遠ってか、なんか声掛けづらくてさ」
「お前MGRの2.5Dとか得意じゃん。今度にすのお株を奪ってMGRoidの音MADを
作ろうと思ってんだけど、お前に動画のほう手伝ってもらおうと思って……」

(「合作」……?私としりり君、二人で作る「愛の結晶」……!)
下腹のあたりを手で押さえてその場にうずくまる深淵、あわてて駆け寄るしりり
「って、おい深淵!大丈夫か?」
「うん、(ちょっと子宮が疼いただけで)大丈夫だから……。やるよ、頑張ろうね」
「え、あ、ああ……ありがとな」
(こいつマジ面倒くせぇ…)と実感して早くも後悔し始めるしりりだった――――。


へらしりり

425名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/23(金) 23:40:16.16»427»446
「俺、もうダメなのかなぁ……」
今にも泣き出しそうな顔をして深淵に寄りかかるしりり
その疲れた頭を胸にかき抱きながら、さびしげな笑みを浮かべた深淵が呟く
「大丈夫。しりり君ならきっと、また元通りの人気者になれるよ……深ちゃは信じてるから」
その言葉はまるで幼子を慈しむような語調を帯び……そしてしりりの理性を吹き飛ばした

逆上に駆られるまま深淵をその場に押し倒し、上衣を剥ぎ取るしりり……弾け飛ぶボタン
組み伏せられた深淵は一切の抵抗をせず下着姿のまま、ただ獣欲に支配されたしりりの
姿だけを見ないよう、顔を背けながら荒げた呼吸に合わせて薄い胸を上下させるばかり。
「しりり君がまた面白い動画を作れるようになるなら……深ちゃのこと、すきにしていいよ」
体を抑え付けられたまま首だけを持ち上げ、しりりの耳元に口を寄せてひっそりとささやく

深淵のキャミソールをめくり上げ、ついにその慎ましやかな胸を覆うブラにまで手を掛けた
しりりの脳裏に、偉大なる先人の言葉がめっちゃリバーブの効いた音像でよみがえる……
「(たとえ失意のどん底にあろうとも、自ら深淵に落ち込むような真似を)してはいけない。」
先人の戒めにハッとして我に帰り、半裸の深淵を後に残して駆け出すしりり

・・・

しりりに脱がされた衣服を拾い、再び身に着けながら嘆息する深淵
「しりり君って本当に意気地なし。あのまま深ちゃのことメチャクチャにしてほしかったのに」
お互いに傷を舐め合うような陰キャ同士の(主に肉体的な)関係に発展することを期待して
わざわざエロい下着を選んでこの日に臨んだ深淵にとってしりりから受けた今日の扱いは
まるで肩透かしを食らったようなものであると同時に耐えがたい恥辱でもあった――――。


しりりと深淵、進む合作

648名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/30(金) 21:39:00.39»651
深淵との合作に再起を賭けるしりり――――あれ以来、振り向けばいつもそこに深淵の姿があった
今日はいつもとは少し様子が違い、そうして目が合った後に深淵のほうから距離を詰めてきた
「え、と……あの……今日、深ちゃの家でいっしょに……(動画の打ち合わせとか、しない)?」
うつむいたままボソボソ喋るせいで最後はよく聞き取れなかったけれど、大方の意図だけは伝わる
その場はなんとかてきとうに言葉をにごしてかわしたものの、背中を突き刺す深淵の視線が痛い
(どうして勢いとはいえ「合作しよう」なんて言ってしまったんだろう……)と後悔しきりなしりり

放課後。
まるでしりりが校門から一歩踏み出すその瞬間を見計らっていたかのように、
おそらく近辺で身を潜めていたのであろう深淵が現れ、まるで影のように歩調を合わせて付いてくる
「違う。深ちゃの家はこっち……。」
抗うことを許さない強い意志を秘めた背後からの低く、じっとり湿った声に従い続けること十数分…
辿り着いたのはどこにでもありそうなアパートの一室の前
ここにきて初めて深淵はすべり込むようにしてしりりの前に立ち、鍵を差し込んでそのドアを開ける
「狭いところだけど……。」
招じ入れられた室内は意外にも女の子らしく小奇麗にまとまっていて、人並みの家具類も揃っている
(深淵の部屋、か……どんなに荒んだ光景を見ることになるんだろう……)と、綾波の部屋的なアレを
イメージして、妙に気負いながら上がり込んだことのほうがむしろ恥ずかしくなるくらい、ふつうの部屋

ロータイプのPCデスクの前に座りこむふたり
さっそく、作ったばかりの2.5D新素材についてうれしそうに解説を始める深淵
「ね、すごいでしょ?……これ、まだどこにもアップしてないんだよ。今はふたりだけの秘密だね……」
ディスプレイを眺めていた深淵がふいに振り返り、すぐ傍らで動画を眺めていたしりりの顔を見返す
(あれ、深淵ってこんなにかわいかったっけ……)
今にも肩が触れ合いそうな距離から、動画の感想を求めて目を輝かせながらしりりに詰め寄る深淵
顔に垂れ掛かる髪を耳の上にかき上げ、今度こそ本当に頬が触れ合うほど近付いて耳元でささやく
「……ねぇ、深ちゃのMGR素材どう?」
(それに、今日の深淵は……なんかいい匂いがする)

狡猾な策略に嵌り込み、(このまま深淵に落ち込むのも悪くないかな……)と思い始めるしりりだった


653名無しさん@お腹いっぱい。2018/11/30(金) 22:36:52.26»680
「ど゙わぁッ!す、すまん深淵……俺、そんなつもりじゃ……」
「うん、分かってる……偶然、だよね」
申し訳程度の胸のふくらみをかき抱くようにしてその場にうずくまり、目を合わせることを避けるように
うつむいたまま呟く深淵

「……見た?」
「な、なんにも見てねえって!俺ずっとディスプレイだけ見てたし!」
「……。」
疑わしげな表情を浮かべながらフロアクッションに座りなおし、妙にせかせかとした手付きでしきりに
スカートの裾を押さえつける深淵

みたいなテンプレートどおりのラッキースケベ展開を忠実になぞりつつ、ふたりの合作は続く―――。


深ちゃの『クリーントーン』

52名無しさん@お腹いっぱい。2018/12/16(日) 00:18:28.23»56»68»86»129»484»714
あれ以来、自室に引きこもり愛用のテレキャスを抱えて攻撃的なフレーズをかき鳴らすだけの日々を送るしりり
憔悴しきったその姿にはかつてク☆動画投稿者の頂点として君臨していた頃の面影はない

最初の「ピン」とそれに続く「ポーン」の間に妙な間を置くためらいがちなチャイム
訪問者が誰なのかおおよその見当は付くが出る気はない
出る気はないが足音を忍ばせて玄関に行き、ドアスコープ越しに覗いてみるとそこにはためらいがちにうつむく
深淵の姿があった

「お前、何しにきたんだよ……。」
PCデスクを背にしたしりりが椅子に掛けたまま、手持ち無沙汰を紛らすようにギターを爪弾きながら問いかける
半ば強引に押しかけてはみたものの、さすがに気後れして居ずまいを正す深淵
「もう……動画投稿、しないの?」

しりりからの答えはなく、歪んだギターの音だけが室内に響く――――。
「ギターの音、歪んでるね」
「そりゃ、エフェクターかましてるからな」
「深ちゃ、しりり君のクリーントーンが聞きたいな……」
「ああ、それならこんなエフェクターなんか外して……って、ど゙わぁッ!深淵お前!?」

立ち上がってまず最初にスカートのホックを外した
裾を放射状に広げながら足元に向かって滑り落ちるスカート
その中心からそっと脚を抜き取り、一歩踏み出してしりりに歩み寄る深淵
いっさい迷いのない手付きでタイをほどき、ブラウスのボタンに手を掛け襟元から裾に向かって順に外していく
キャミソールの裾を掴んでたくし上げながら、頬が触れ合う距離にまで近付いた深淵がしりりの耳元でささやく
「深ちゃの『クリーントーン』全部見せてあげるから、しりり君も……ね?」
前かがみの姿勢のまま背中に手を回してにっこり微笑む


70名無しさん@お腹いっぱい。2018/12/16(日) 21:50:16.30»73»484
しりりの前に一糸まとわぬ姿で立つ深淵
カーテンを閉め切った薄暗い部屋の中で見るその白い裸身からは、微かな燐光が放たれているような
錯覚さえ覚えた
深淵の裸を見るのはこれが初めてじゃない――――ふいに思い出す

前に一度、まだ仲が良かった頃のれむっふにそそのかされて深淵に自撮りを送らせたことがある
ガリガリに痩せた貧相な体付きで、それでもなお上目遣いでまっすぐレンズに向けられたその目からは
無視され続ける日々から脱することを渇望する強い意志が確かに感じられた
俺と深淵の関係、全てはあの些細な悪ふざけから始まったんだ

ギターをスタンドに立てかけ、深淵に向かって差し伸べた手でその細い腰に触れる
「あ……」
深淵が喉の奥から漏らしたそのかぼそい声は、他のどんな音源よりも心地よくしりりの耳をくすぐった
(なんて澄み渡った「クリーントーン」を奏でるんだ……)
思わず抱き寄せた深淵の裸身は、これまで手にしたどんなギターよりもしりりの手にしっくりと馴染んだ


72名無しさん@お腹いっぱい。2018/12/16(日) 22:33:24.17»79
れむっふ「そこまでれむ!(バァーン)」


れむっふの乱入

151名無しさん@お腹いっぱい。2018/12/22(土) 19:01:12.16»484
今にも折れそうな細い腰に回した手でその上体を支えながら深淵を抱き寄せるしりり
しりりの腕に身を委ねつつ、その顔を見つめ返していた深淵の目が静かに閉じられる

ふいに、玄関のドアがバァン!と大きな音を立てて開いた
二人が目を向けると、そこには外界の光を背にしてくっきりと輪郭を浮かび上がらせた
れむっふの姿があった

突然の闖入者に驚いて思わずよりいっそう固く身を寄せ合うしりりと深淵
(まさか、ここまで進展していたなんて……想定外れむ!)
その様子に内心動揺して口元を引き攣らせながらも、どうにか目だけで微笑むことに
成功したれむっふがおどけた調子で呟く
「へぇ~え……?w」
その残忍な響きを敏感に感じ取った深淵は、しりりの腕の中で思わずすくみあがった

・・・

拾い集めた衣服を胸の前でかき合わせ、しりりの傍らにうずくまって顔を伏せる深淵
そのむき出しの肩と背中は時折しゃくり上げるように震えた
れむっふは「勝手知ったる」とばかりに靴を脱ぎ、後ろ手にドアを閉めて上がり込んだ
「お前、何しに来たんだよ……」
ほんの数分前、深淵に言ったばかりの言葉を今度はれむっふに向かって繰り返した

「なんかしりり君ってぇ、最近れむちゃに冷たいじゃん?そんでちょっと気になってさぁ」
「それは……お前のほうが(俺が身バレして急によそよそしくなったのはそっちだろ)」
後に続くはずの言葉は声にならなかった
「何のことれむ~?(半笑い)……で、久しぶりにこ↑こ↓寄らせてもらったってワケ。」

れむっふから発せられた「久しぶり」の語に反応して、深淵の肩がビクッと大きく震える
「なんかもう懐かしいれむねぇ~。音MDMのときは毎日のように通い詰めだったから。」
「……おい、やめろ。」
「え、なんかマズいこと言っちゃったれむか?(半笑い)あのときは合作のためとはいえ
この部屋でしりりくんと色々あったれむねぇ……」
「やめろっつってんだろ……!」
「れむが『今日はもう帰して。』って泣いてるのに何度も(動画のリテイク)求めてきたり。」

深淵は衣服の束に手を突っ込んで、スカートのポケットからオルファを探り当てたようだ


166名無しさん@お腹いっぱい。2018/12/24(月) 00:26:13.46»187»203»484»589
「よりにもよって深淵なんかと……しりり君もずいぶん落ちぶれたものれむねぇ。」
その言葉に反応して弾かれたように深淵が顔を上げる
破面した右目の底で何か無数の細かく黒いものが一斉にザワザワと蠢き出した
なんだか知らないが間違いなくMウイルスを撒き散らすヤバい「モノ」に違いない
(とりあえず俺の部屋ではやめてくれ……)

立ち上がったしりりがれむっふの頬を打ち、薄暗い室内にパンッと乾いた音が響く
「……俺は『やめろ』と言った。」
一瞬、大きく見開いた目で驚いたように自分を打ったしりりを見返したれむっふは
打たれた頬を手で押さえるとそのままその場にへたり込んだ

「なんで、れむのことぶつの……?」
「れむちゃはいつだっていいこだったでしょ?偽NYNを使った動画が伸びたときは
ちゃんと禊動画作ってごめんなさいしたし、頭わるわるが便乗ホモガキの食い物に
されそうになったときだって動画スレのみんなが消せっていうから消したのに……」
「投コメだってちょっとキツすぎかな?って思ったら次からはちゃんと気をつけて!」
「れむちゃ何でも言うこときくから叩かないで!れむちゃのことぶたないで、お願い」

その場に突っ伏して、まるで幼児退行したかのように身も世もなく号泣するれむっふ
かつてはしりりに次ぐ人気を得ていた動画投稿者、だがその実態は叩かれたくない
一心から、まわりの顔色を伺い続けることを強いられる犠牲者でもあったのか……
過去にどんな事情があったのかは知るべくもない――――。

手首にあてがったオルファを取り落とし、つと立ち上がってれむっふに寄り添う深淵
憎い恋敵ではあっても彼女もまたその心に深い闇を抱えていることを知った深淵は
れむっふを打ったしりりに対して非難のまなざしを向け、キッと睨み付ける
(ええ……なんか俺、悪者にされてる?…何これ、何なの、何で。)

手早く着衣を済ませた深淵がまだ幼児のようにグズり続けるれむっふを助け起こす
気まずい空気の中、暇乞いをする深淵と支えられるようにして立つれむっふの姿を
放心したように眺めるしりり
(深淵は微乳ながらも美乳、しかしこうして並べてみるとやっぱりれむっふのほうが)
その目は肩掛けカバンをたすき掛けにしたパイスラ状態のれむっふに釘付けだった


深淵一人合作

307名無しさん@お腹いっぱい。2018/12/31(月) 22:31:04.12»321
橙色の常夜灯の下、薄暗い室内にかすかに響く押し殺したような吐息
頭まですっぽりと覆った掛け布団の下で規則的な動きを繰り返す深淵
「あ……」
その喉の奥からあの最後の日、しりりから「澄み渡るクリーントーン」と
評された声が漏れ、せわしなく続いていた動きがぴたりと止んだ
まだ紅潮した顔で荒い呼吸を繰り返したまま布団の中から出した手を
顔の前にかざし、その濡れた指先を眺めていつもの自己嫌悪に陥る

汚した下着を履き替え再び床につく深淵―――だが、夜は……長い。
なかなか寝付かれずにいるうちにしりりとの「合作」の約束を思い出し
その手は独立した意志を持つ蜘蛛のように着衣の下へと這い込んだ


ミミズ

678名無しさん@お腹いっぱい。2019/01/19(土) 21:58:40.88>>679>>683>>685
「深淵ってさあ……最近ちょっと調子に乗ってなくね?」
「あいつ絶対自分のこと可愛いと思ってるよね」
「陰キャのクソメンヘラのくせに勘違いしてんじゃねーよって感じ?」
取り巻きの上位カースト女子たちによる深淵評に腕組みをしたまま時折頷いて聞き入るれむっふ
集団の中心で一人だけドッカと椅子に座し、ときどき脚を組み替えては手首から先だけを動かして
上に向けた手のひらで「もっとやれ」っと煽る

「……そろそろ〆たほうがよくね?」
「でもあいつガッチリ鎧着込んでるからボコれないじゃん」
突然ガタッと音を立てて立ち上がるれむっふ
思わず一歩引いた上位カースト女子たちを首領の風格で一渡り見回した後、おもむろに口を開く
「いい考えがあるれむ」

放課後、鎧をガチャガチャ鳴らしながら逃れようとして暴れる深淵を必死に押さえつける女子たち
「れむっふさん、抑えました!で、どうするんですかこいつ……!?」
満面の笑みをたたえながらゆっくりと歩を進めるれむっふが手にしている桐製の小箱を見た瞬間
手下たちの表情が凍り付き、緊張と狼狽の空気が場を覆った
「れむっふさん、さすがにそれは(やりすぎじゃ……)」

「い~い格好れむねぇ……特にその反抗的な目、いいねぇ?ゾクゾクするよぉ~(ICGのパクり)」
「これ知ってるれむか?川釣り師の間では『キジ』って呼ばれてるれむねぇ?」
蓋を開けた小箱に詰まったおがくずの中でうごめくミミズを目にした深淵が恐怖のあまり硬直する
小箱から絡み合ったミミズの固まりをつまみ上げたれむっふの手が、わずかな鎧の開口部である
深淵の目の前でひらひらと躍る

「れむっふさん!さすがにそれは……!(二回目)」
あまりの残虐ショーに耐えかねた女子の一人が果敢にもれむっふにすがり付いて圧し留めようと
するも、その腕を振りほどきながら小声で呟いたれむっふの「このくらいでヘタレるような臆病者は
こいつと同じ目に遭わせてやるれむよ」の言葉に心底震え上がり、思わずその場にへたり込んだ
「もういいれむ!こっから先はれむ一人でやるからお前らはさっさと失せるれむ!」
れむっふの剣幕に恐れを成して一人二人と立ち去る上位カースト女子たち

取り巻きの最後の一人が立ち去ったことを見届け、小箱を放り出して深淵を抱き起こすれむっふ
「れむにはいちおうその……あいつらの前で示さなきゃいけない面子みたいなものがあって……」
「ううん、いいの。深ちゃは全部分かってるから」
「……ところで、その鎧というか甲冑って一人じゃ着られないし脱ぐこともできないよね。じゃあ本当に
ミミズ入れられたりしたら大変なことになってたれむねぇ……で、『誰に』着せてもらってるれむか?」
「……!///」
慌てて目をそらす深淵
「あ、ふーん(察し)。じゃあその鎧を着せてくれる『彼』とはもうこっそり”合作”しちゃった……とか?」

れむっふが再び深淵を突き倒す
ガチャリと音を立てて仰向けに倒れ込む深淵
放り出した小箱を拾いなおしたれむっふは深淵を踏み付けたままその蓋を開け、そして――――。


買い物するカップル

75名無しさん@お腹いっぱい。2019/02/10(日) 23:25:33.82>>118
閉店間際のスーパーで半額シールが張られた刺身を物色するれむちゃ
(このマグロの柵はツマに血が染みてて鮮度がヤバそうれむね…漬けにすれば意外とイケるかも)
(こっちの切り落としはサーモン多めれむね…明日のお弁当にする海鮮丼ならこっちもありれむ!)

背後から鮮魚コーナーを通りがかった男女の会話が聞こえる
「今日は何にしよっか?おさかなとかどう?」
「…なんでもいいよ」
「もう!いつもそうなんだから」
「お前が作ってくれる物ならなんだっておいしいって言ってんだよ」
「……!///」

(なんだこのバカップル!?それにしてもこいつら二人ともどこかで聞いたような声してるれむね…)
ガチャガチャ鳴る金属音が気になりながらも後ろを振り向く気にはなれないれむっふだった―――。


深淵とれむっふ

374名無しさん@お腹いっぱい。2019/02/17(日) 20:16:51.31
>>320
しりりと自己矛盾の濃厚なホモセックスの現場から逃れるように駆け出した深淵
目じりからは涙がほとばしり口元を押さえた手の隙間からは嗚咽が漏れ出す…

ろくに前を見ていなかったせいで路上で誰かにぶつかった
「痛ッ!なんだお前!流行らせコラ……って深淵れむか!?」
「あ、れむっふ……さん」
ぶつかった相手に気付いた深淵はれむっふに取りすがるようにして泣きじゃくる
「ちょッ、何があったれむ?こんなところで……」
路上で抱き合う少女たち、しかも一人は身も世もない様子で号泣している
ここは天下の往来――――。
周囲から向けられる奇異の目に耐えられなくなったれむっふが深淵の細い肩を
やさしく抱いてその耳元にささやく
「何があったかはお前の家で聞くれむ。たしかこっちのほうだったれむね……。」
(れむっふさん、なんで私の家を知ってるんだろう……)
あえて疑問は口に出さず、れむっふに支えられるようにして家路へと向かう深淵

「……そうれむか、やっぱりあいつホモだったれむね。」
れむっふの前にティーカップとソーサーを運んでいた深淵の手が一瞬止まり、
一呼吸分の時間をおいてからそれはそっとテーブルの上に置かれた
「おかしいと思ったれむ。あいつ、れむと合作したときもけっきょく最後まで……」
と、そこまで言いかけたとき、深淵の目に希望の光が宿ったことを見過ごすような
れむちゃではない……話題を変えた
「柑橘系のいい匂いれむね、これは……アールグレイ、それともレディグレイ?」
カップを口元に運びながら香りを吟味するれむっふが振り返る
「レディグレイ……ちょっと香りがキツいから好きじゃないって人もいるけど……」
かつての恋敵、れむっふと肩を並べて座ることを避けて後ろのベッドに腰掛けた
深淵がおずおずと答える
「そう、きっと『彼』もこれを好きって言ったれむね。れむもレディグレイ好きれむよ」
「……!///」


375名無しさん@お腹いっぱい。2019/02/17(日) 20:22:45.98>>389
カップを傾けゆっくりと一口だけ含み、カチャリとソーサーの上に置いたれむっふ
「深淵は飲まないれむか?」
「今は、ちょっと……あ、そうだクッキー☆動画でも見よっか?新着荒らしが湧いて
なければいいけど」
腰掛けていたベッドから身を起こして、PCの電源を入れようと身を乗り出した深淵
その顔がれむっふの真横に並び、揺れる髪がかすかに香った
(こいつ、最近本当にかわいくなったれむね……)

「……ん゙ぅッ!?」
抱き寄せた深淵の顔を強引にこちらに向け、驚きの声を上げようとしたままの形で
固まったその唇を自分の口で塞ぐ
苦しげな息をついて身をよじりながらも断固として舌の侵入だけは拒み続ける深淵
れむっふを突き飛ばし、息を荒げたまま目元にうっすらと涙をにじませて問う
「どうして、こんな……」
「レディグレイの香りを一緒に味わいたかっただけ……れむよォ?w」

腕を掴んで引き起こした深淵の華奢な体を叩きつけるようにしてベッド上に押し倒す
(思い出すれむねえ……れむも昔、こんな風に竹お姉さまから「女同士の悦び」って
やつを教えられたれむ)
ベッド上でれむっふのどっしりとした下半身にのしかかられた深淵が逃れようともがく
「抵抗してもムダれむよ(インチキくさい中国訛り)」
深淵の体をまさぐっていたれむっふの白魚のようなお手々がスカートの中に潜り込む
「あ、いやッ……そこは、まだしりりくんにだって……」
(いい声で鳴くれむねぇ……どんなVSTプラグインにもこれほど嗜虐心をそそる音源
なんてないれむよ……さすがにしりりくんをたぶらかしただけは、あるれ゙む゙ね゙ッ!)
復讐の喜悦に歪んだれむっふの顔を見上げながら、深淵は声にならない声で叫ぶ
(しりりくん……!助けて!)


かけつけるしりり

575名無しさん@お腹いっぱい。2019/02/22(金) 20:51:18.32
「深淵!居るんだろ?あれは…違うんだ、とにかく話を…俺の話を聞いてくれ!」
駆け付けたしりりがドアに向かって何度も激しく拳を打ちつけながら声を荒げる
(しりり…くん、やっぱり来てくれた……!)
れむっふに組み敷かれ、今やすっかり衣服を剥ぎ取られた後の下着姿となって
ベッドに横たわった深淵の目に安堵の涙が溢れる

「やっぱり来たれむね……未練がましい男。」
忌々しげにドアのほうを振り返りながら吐き捨てるように呟くれむっふ
そして何を思ったかこのタイミングで深淵にまたがったまま自分も服を脱ぎ始めた

深淵から合鍵を渡されていたことをようやく思い出したしりりがポケットの中を探る
――――果たして、それはあった。
鍵穴に差し込み、勢いよくドアを開ける

室内の光景を目にしたしりりは玄関に一歩踏み込んだ姿勢のまま凍りついたかの
ように硬直して、それ以上一歩も足を先に進めることができなかった
ベッドの周囲には脱ぎ散らかされた衣服、そしてシーツの上で半裸のまま互いに
もつれ込むようにして絡み合う深淵とれむっふ
それは、深淵がれむっふの縛(いまし)めから逃れようと必死に抗う姿だった
だが皮肉にもしりりの目にはそう映らない――――。


576名無しさん@お腹いっぱい。2019/02/22(金) 20:51:38.10
深淵の細く白い脚を肩の上に担ぎ上げたれむっふが玄関に佇むしりりを振り返る
「ホモのしりりくんにはこんなにかわいい『深ちゃ』はもったいないれむね」
目の奥に復讐心をたぎらせ、口角だけを吊り上げた凶暴な笑顔
「大丈夫。『深ちゃ』のことはれむがこの通り、可愛がってあげてるからしりりくんは
もう帰っていいれむよ」

押さえ付けるれむっふの体の下から必死に身を起こそうともがきながら叫ぶ深淵
「違うの!これは違うの!……しりりくん!ん゙ぅッ(助けて)!?」
最後まで言い終わる前に、再びしりりに背を向けたれむっふが深淵を押さえ込み
自分もその上に顔を落として唇を塞いだ
すがるような目でこちらを見て手を伸ばそうとする深淵への未練を断ち切るように
しりりは黙って踵を返し、そして後ろ手にドアを閉めて静かに立ち去る

「しりりくん、帰っちゃったれむね」
垣間見えた希望の後に再び訪れた絶望に打ちひしがれる深淵
そんな様子を満足げに見下ろしているうちにれむっふは有名な言葉を思い出した
――――傷心の深淵は、チョロい。
その言葉通り、すっかり従順になった深淵は身に着けた最後の衣類である下着を
剥ぎ取っていくれむっふの手を煩わせるようなことはなかった


577名無しさん@お腹いっぱい。2019/02/22(金) 20:51:54.19
しりりが去った後、ずっと呆けたように無限遠に合わされたままだった深淵の目が
れむっふの顔に向かってすうっと焦点を合わせる
「深ちゃのこと……構ってくれる?」
涙で濡れた頬に乱れた髪を張り付かせた深淵がれむっふに向かっておずおずと
両手を差し伸べて、寂しげな微笑さえ浮かべながら、問う

(……こいつ、ヤバいれむ!)
本能的な恐怖を覚えてその手から深淵から、そしてベッドから飛びのくようにして
逃れるれむっふ
(まさか、心を病んだ深淵がこれほどエロいなんて……こんなの、想定外れむ!
一瞬でも気を緩めたが最後、れむのほうが「深淵」に引き込まれそうれむよ……)
深淵は身を起こし、ベッド脇に足を下ろした
立ち上がった深淵が真っ白な裸身を薄暗い室内に浮かび上がらせて歩み寄る
深淵のエロさに気圧されて思わず後ずさったれむっふの膝がテーブルに当たり、
その上に置かれたティーセットがカチャリと音を立てた


怪文書/学園微エロss1.1586197935.txt.gz · 最終更新: 2020/04/11 22:49 (外部編集)
Driven by DokuWiki Recent changes RSS feed Valid CSS Valid XHTML 1.0